Nov 13, 2008

監視カメラのある店で働いた。

以前働いていたレンタル店はきちんと監視カメラが付いていました。監視カメラが正常に付いてのおかげで、オフィスでしっかり監視カメラに映っている映像を、複数のTVで見ることができたので、比較的大きな事故につながることができません。監視カメラの映像を職員が確認するのはいいことだと思いました。
防犯用にと家の監視カメラの山を置いている家はあるのだろうか。ホームセンターに行けば、そのダミーの監視カメラが結構売られているが、これは効果があるのだろうか。泥棒も、その中でどれが偽りでどれが偽物か、把握することが泥棒が出てきてしまうのではないだろうか。しかし、偽りも警戒しているアピールがあるだけでかなり違うのだろうか。
 3年にわたるNHKスペシャルドラマ「坂の上の雲」の最終編が12月から始まる。いよいよ203高地の戦いや日本海海戦など物語の山場を迎える。

 これは、激動の時代に、できることを精一杯やって自分の一事を成そうとする人間物語である。登場人物たちが、人生の限られた時間で何を成そうしているかという観点で見るとたいへん興味深い。

●毎日を大切に生きる

 もし、われわれがあと30日しか生きることができなければ、急いで株式投資をして儲けようと思だろうか。

 もし、あと10日しかなければ、好きなショッピングをしたり、行きたいと思っていた外国旅行に出掛けたりするだろうか。

 いや、そうは思わないだろう。そんなことより、お世話になった人に会いにいってお礼を言い、家族や後生に伝えなければならないことをしっかり話し、自分の身の回りの整理をしたいと思うのではないか。

 武士道を説いた「葉隠」(山本常長)に、「武士道と言うは死ぬことと見つけたり」とある。これは「武士は潔く死ね」ということではなく、「武士はいつ死んでもいいように、今日を大切に生きよ」という意味である。

 仏教に「常命」という言葉がある。誰しも定められた命がある。こちらも、毎日を有意義に大切に生きよという教えである。

 人生は短いからこそ毎日を一生懸命に生き、その中で何かを成し遂げたいものである。

●一生で会える人の数など限られている

 わたしは若手にこう言いたい。長い人生と思っても蜻蛉(かげろう)の命のように短い。先人もそう言っているし、あっという間に50代後半になってしまった自分の人生を振り返ってもそうだ。

 若手はこれからたくさんの人に会えると思っていても、たかがしれている。

 Facebookで上限5000人まで友人を物理的にリストすることができるが、5000人のリストを持っている人は知らない人から友人要請があっても受けているに違いない。多くのユーザーが100〜200人程度であることからも、何千人も本当の友人などできるはずがない。

 知り合えた人とは何かのご縁があるのだ。そう思って知り合えた人を大切にすべきである。仕事人生は長く、何でもかんでもできると思っていても、実はそうではない。だからこそ人との縁と毎日を大切にして、やるべきことを思い切りやりたいものである。

●「竜馬がゆく」「坂の上の雲」に共通するテーマ

 日本の多くの経営者がその座右の書に司馬遼太郎作品を挙げている。わたしは、司馬遼太郎さんの大ファンである。本連載の第2回でも触れたが、両作品のテーマは、「一事を成すこと」だと思っている。

 竜馬は、薩長同盟と大政奉還を成した。

 秋山好古は日本陸軍の騎兵を作り、弟の真之は海軍参謀として日本海海戦を勝利に導びいた。正岡子規は近代俳諧を確立した。

 好古は、「単純に生きよ」「人間生まれてきたからには一事を成せ」と言い続けた。

 竜馬にしても坂の上の雲の主人公にしても、激動の時代に、一生で自分に何ができるのかを考え、その人生を賭して一事に集中してやり遂げた。

 飽食の時代、情報が溢れ、なに不自由なく生きている現代で、わたしたちもこれを見習うべきではないだろうか。

●司馬遼太郎さんの一事

 前にも本連載で触れたが、司馬遼太郎さんは、多くの日本人をその作品で感動させた。「竜馬がゆく」と「坂の上の雲」の2作品で4、800万部とも言われている。

 この数字は、日本全国の所帯数とほぼ同じであり、一家に1冊あることになる。司馬さんは、40歳から5年間「坂の上の雲」の下調べをして、4年半にわたり産経新聞に連載した。まさに、働き盛りの10年を一つの作品に費やし、見事に日本人の心を動かした。

 作品のテーマである一事を本人も見事に成し遂げた。あっぱれである。

 司馬遼太郎さんの小説が史実に基づいていないなどと言う学者がいるが、とんでもない話である。司馬さんのように一事を成してから言ってもらいたいものだ。

 大阪府東大阪市に司馬遼太郎記念館がある。機会があればぜひ行ってみて欲しい。執筆に使った書斎や7万冊という膨大な文献が陳列されている。まさに図書館である。文献の一部は、専門家が神田の古本屋を回って、トラックで東大阪市に運搬したそうだ。

●一事はどこにある、という悩み。

 わたしは講演や研修をするとき、参加者に「すでに一事を成しましたか?」と問いかけることにしている。経営者や管理職でもほとんど手が挙がることはなく、逆に質問が来る。「その一事はどうやって見つけるのか」「見つからない時点は不安ではないか」、と。

 前にも引用したが、友人から聞いたこの言葉を再掲する。

 「虎穴に入らずんば虎児を得ず」

 「それでは虎穴はどこにある?」

 「虎穴は自分の足元にある!」

 何か一事を成そうなど思うと、つい自分とはかけ離れた遠い世界を想像してしまう。あるとすれば遠い遠いどこかに虎穴があるのではないか、と。

 実はそうではなくて、一事は自分の足元にあることが多い。一事を成している人は、自分の身の回りから成し遂げるべき一事を発見しているのである。

 わたしの同級生の女性が、病院を海外に寄贈するプロジェクトに参加をして、とうとうそれが現実となったとつい最近連絡をくれた。「後生に何かを残したい」と思ったそうだ。大変立派であり、うれしい限りである。自分の旦那様はお医者さんであり、病院のことを思いついたらしい。

●一事がまだ見つからないが、という悩み。

 自分のやりたいことも成すべき一事も見つかっていない。いったいいつ見つけられるのかという質問がある。一事を見つけようとするのは40歳でも50歳でもまったく遅くはない。

 坂本龍馬が勝海周に出会って海外事情を知ったのは、28歳のときであり、33歳で暗殺されてしまった。たった、5年間で先のような業績を残したのは偉大であるが、一事を見つけて成し遂げるのは、5年もあればできるということともいえる。

 自分がやるべき一事を見つけること、それを行動に移すのは、何歳からでも遅くはない。生意気ながら、わたしの一事は「先輩・先人の教えを後生に順送りすること」である。

 わたしには3人のメンターがおり、最初のメンターはわたしがまだ高校生だった。そのメンターは、「一生自分の机を持て」ということ、つまりいくつになっても勉強せよということを教えてくれた。

 いつもアドバイスやお叱りをくれ、わたしにたいへんよくしてくれた人物である。笑顔がよくて読書好きで豪快な人物で、大尊敬申し上げている。

 あるとき、「なぜわたしにそんなによくしてくださるのですか? 」」とわたしが聞くと、「世の中は順送りだ! ワッハッハ」との答えであった。わたしは、当時その意味がよく分からずにいたが、最近になってようやく分かってきた。

 今は違うが、昔は「結婚式の仲人を一生に一度はやれ」と言われたものだ。これは、自分が先輩にしてもらうのだから、自分も後生にすべきという順送りの教えである。

 先のメンターを含めさまざまな先輩に教えられて、また書籍などを通じて先人に教えられた。あるとき、これを自分の信条にしようと思った。まさに自分が高校生時代に聞いていた言葉が「一事」であることに気がついた。気がついたのは、50歳前である。

 だから、わたしはその教えを後生に伝えたい。生意気ながら、社外取締役、執筆、講演、セミナーなどの場で伝えようとしている。一事を成しているとまでは到底言えないが、ささやかに進行させている。

 その一つに地元で主催している「世田谷ビジネス塾(無料読書会+懇親会)」がある。月に1度、老若男女が集って自分の好きな書籍の紹介をして、議論する。誰でも参加できるので、もし興味があれば連絡をください。

●わたしのもう一つの一事も足元にあった。

 つい最近、自分の足下にもう一つ虎穴があることを発見した。23年間商社に勤務し、10年間米国に駐在したことを考えてみたからだ。グローバル化が進みいいか悪いかは別にして、これからの人材はそういう環境で仕事も生活もしていかざるを得ない。

 明治時代に「武士道」を(英語で)書いた新渡戸稲造の信条は、「日本とアメリカの架け橋になる」ことであった。新渡戸は日本の考え方を世界に紹介し、日露戦争前に日本の国債を欧州で売ることにも貢献した。

 わたしごときが「架け橋」はおこがましいので「日本と世界の小さな架け橋になる」ことを2つ目の信条として、これから挑戦してみたい。具体的には、これから海外進出をしようとしている会社などの手伝いができればと考えている。

●連載終了にあたり

 1年にわたる「坂の上の雲から学ぶビジネス要諦」の連載をお読みいただき、感謝に耐えない。

 一昨年上梓した拙著『仕事で大切なことは「坂の上の雲」が教えてくれた」(三笠書房)で書き切れなかったことがたくさんあり、また現代の日々の出来事も「坂の上の雲」がすでに教えてくれていることも多いと感じたことから本連載を始めた。

 わたしの3番目のメンターも「坂の上の雲」の大ファンであり、かれが東郷平八郎を語るとき、椅子から立ち上がって直立不動となって敬礼をして見せる。ご自分は見たことがないはずなので、飛び交う砲弾の中で戦艦三笠の艦橋に立っている姿を物語から想像しているに違いない。が、その姿を見ていて嬉しくなってくる。

 若手も中堅も経営者も、一事を成すという大きな志を持って仕事にも向かってもらいたい。「浪漫と挑戦」を心掛けてもらいたい。

 激動の時代は、今も同じである。そういう時代にこそ、大きな器のリーダーが必要とされる。人間力と行動力を備えた人物である。

 読者の皆さまのご健勝とご発展を祈念します。

●著者プロフィール

古川裕倫

株式会社多久案代表、日本駐車場開発株式会社 社外取締役

1954年生まれ。早稲田大学商学部卒業。1977年三井物産入社(エネルギー本部、情報産業本部、業務本部投資総括室)。その間、ロサンゼルス、ニューヨークで通算10年間勤務。2000年株式会社ホリプロ入社、取締役執行役員。2007年株式会社リンクステーション副社長。「先人・先輩の教えを後世に順送りする」ことを信条とし、無料勉強会「世田谷ビジネス塾」を開催している。書著に「他社から引き抜かれる社員になれ」(ファーストプレス)、「バカ上司その傾向と対策」(集英社新書)、「女性が職場で損する理由」(扶桑社新書)、「仕事の大切なことは『坂の上の雲』が教えてくれた」(三笠書房)、「あたりまえだけどなかなかできない51歳からのルール」(明日香出版)、「課長のノート」(かんき出版)、他多数。古川ひろのりの公式ウエブサイト。

(ITmedia エグゼクティブ)
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