Nov 24, 2008
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中部電力浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の原子炉全基停止で、中部電管内の夏場の電力供給が需要を下回る可能性が出てきた。
中部電の大口(工場)向け電力量は全体の約4割を占めており、国内最大メーカーのトヨタ自動車をはじめ、製造業の一大集積地である中部地方の企業の操業にも影響が及びそうだ。
トヨタは、国内にある17車両工場のうち9工場が、愛知県を中心とした東海3県にかたまっている。
東日本大震災に伴う部品不足が解消される秋以降、増産に乗り出すことで、それまでの生産の遅れを取り戻す考えだが、生産計画の変更が避けられない情勢となってきた。
東京電力福島第一原発の事故によって、東日本で懸念されている夏場の電力不足には、業界ごとに工場の休業日を決める「輪番休業」を日本自動車工業会が提案しており、トヨタも東電管内の静岡県裾野市の子会社工場などで休業日を設けることを想定してきた。
浜岡原発停止で、中部電管内でも電力不足は避けられそうになく、同様の対応を迫られそうだ。
中部電力の浜岡原発が政府の要請を受けて全面停止する見通しになったことに対し、経済界からは「東日本大震災で生じた生産の混乱が長期化・拡大する可能性がある」と反発の声が上がっている。夏場に電力が不足する東京電力管内に生産拠点を持つ企業は、中部電を含む他電力エリアへの生産移管を計画していたケースも多いとみられるが、中部電の需給も逼迫(ひっぱく)する見込みになり、「これでは企業は生産を海外に移さざるを得なくなる」(日本経団連幹部)との悲鳴も上がる。【工藤昭久、宮崎泰宏、米川直己】
中部電が策定した11年度の供給計画によると、同社の供給力は最大約3000万キロワットで、ピーク時に消費する最大電力量を約2560万キロワットと想定。差し引いた予備電力は約440万キロワットだった。
浜岡原発の供給電力量は、現在定期検査中の3号機と4、5号機の合計で約360万キロワット。浜岡原発を全面停止した場合の予備電力量は約80万キロワットに落ち込み、予備電力率は3%程度に低下する。
中部電の水野明久社長は5日、浜岡原発を視察した海江田万里経済産業相との会談後、記者団に「三つの原子炉が止まる状況になれば、電力不足になりかねない」と懸念を表明。海江田経産相は「計画停電をする事態にはならない」とするが、同社幹部は「計画停電などをお願いする可能性もある。東電に融通している電力供給にも影響が出る恐れがある」と話す。
海江田経産相は関西電力に対し、電力が不足する際は中部電に電力を融通するよう支援要請したが、夏場に電力が不足する東電管内から関電管内に生産を移管する企業も多いとみられ、関電もどれほどの余裕が残るのか定かでない。
中部電管内は、トヨタ自動車、ホンダ、スズキなどメーカーの生産拠点が集積する。東電管内の電力不足を受け、ホンダが3月に発売予定だった小型車「フィットシャトル」の生産を埼玉県の生産拠点から鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)に移すなど、中部電管内に生産の一部移管を進めるメーカーもあった。それだけに、政府が突然、浜岡原発の全面停止を求めたことに、「中部まで計画停電になるのでは困る」(大手自動車幹部)と反発や戸惑いが広がる。
夏の電力不足に備えて自主的な節電計画づくりを企業に促してきた経団連幹部も「何の調整もなく唐突すぎる。浜岡だけでなく他の原発も突然停止要請される可能性も否定できない」と、政府が経済界への根回しなしに方針を決めたことを批判する。
また、トヨタ系部品メーカー首脳は「今は生産水準が低いので心配はないが、生産が軌道に乗る夏場に原発がすべて停止するとなると、電力が確保できるかどうか不安」。JR東海幹部は「もし計画停電などを実施する場合は、鉄道輸送の重要性から一定の配慮を要請せざるを得ない」と話している。
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大型連休のはざまの6日の東京金融市場は、世界的な原油や金などの商品相場の急落を受け、円高と株安の連鎖が進んだ。5日のロンドン市場で円が一時1ドル=79円57銭と急騰し、6日の東京外国為替市場も一時80円24銭まで上昇。東京株式市場の終値は4営業日ぶりに反落し、145円安の9859円20銭と1万円割れした。
円相場は東日本大震災後の17日に史上最高値の76円25銭をつけた後、先進7カ国(G7)の協調介入で80円台超に戻り、4月は82円〜85円台で推移してきた。一進一退を繰り返してきた金融市場の混乱は、雇用関連統計の悪化などをきっかけに、米国経済への楽観論が後退したのが主因だ。
欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は、「協調を引き続き強化するために可能なことがあれば、われわれは疑いなくそれをやっていく」と牽制(けんせい)した。
資金の流れが変化したきっかけは、国際商品市場の急落だ。中東・北アフリカの政情不安を材料に進んでいた銀への資金流入が、5日のニューヨーク市場での銀先物相場の急落をきっかけに逆流し、金や原油、株価がいっせいに急落した。
国際商品相場は、世界経済が順調に回復を続けるとの観測を背景に、上昇基調を続けてきたが、「世界経済回復を担う重要な一角である米経済の先行き不透明感の台頭で、投資家が安全志向を強めている」(市場関係者)。
円高もこうした流れの中で起きた。低金利の円は投資家には「安全資産」と位置づけられ、リスク回避の受け皿になった。
一方で、市場では新興国を牽引役とした世界経済の拡大期待は大きく、経済界では「年末にかけて円安が進む」(朝田照男・丸紅社長)との見方もある。
日本と米欧の金融政策の温度差もある。日米欧で最初に出口戦略にかじを切ったECBは、定期的に利上げを続けるとの観測は強く、米連邦準備制度理事会(FRB)も出口を模索している。これに対し、日銀の金融緩和の長期化は避けられない。
当面は震災に伴う経常黒字の縮小も予想され、円安要因はめじろ押しだ。ただ、世界経済に影響力のある米欧経済の先行き不透明感が円高圧力を強めつつある。復興に動き出そうとする日本経済にとって、行き過ぎた円高は重荷になる。
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